コラム

まちと公共スペースのデザイン1「まちなかの子ども図書館」

2017.4.17

衰退したまちでは

事業の経済性を確保しながら持続することが難しいあまり、

その先の〝資産になるまちのデザイン″視点が欠けがちに。

今年のコラムではnewsおうめの最新号と連動して

都市におけるデザインの好事例を写真つきで紹介していきます。

 

 

中国の北京市にある大柵欄という古い街。

紫禁城の南に位置し、王朝の首都が栄えた頃、

北京を目指す地方の旅人が最初に宿をとり

過ごした商業地です。

 

 

都市が近代化するにつれ

大柵欄は多くの商売人が住まう地区のため

再開発を行うことが難しくなり、

歴史文化的な保存要請からも

昔の姿が残されていますが、

北京の中心にも関わらず

居住者や商業者が離れスラム化していきました。

 

 

エリアの雰囲気を活かして再生を図ろうと

建築家:梁井寧によって仕掛けられたのが

北京デザインウィーク。

空き店舗や住居に

アーティストが展示を定期的に行ううち、

若い人が開業する店舗が増え、

入居したデザイン事務所が

イベントのたびにオープンアトリエを行うように。

 

 

毎年10月初旬に行われ、

今では一般来街者が街を楽しめる企画に発展。

 

 

中でも、ひと際魅力を放つのが、

北京の建築家standard architectureが設計した

地域の子供のための図書館「微雑院」micro yuan’er。

老朽化した違法増築住宅を撤去しながら

古い四合院の形を残して整備し、

子供が遊具で遊ぶように走り回ることが出来、

読書や遊びを楽しめる空間になっています。
家具製造会社の協賛で実現し、

現在では地区政府の支援により

紙芝居や工作ワークショップも定期開催。
既往の樹木を残し、

歴史的な雰囲気の中に子供の姿を集めた、

秀逸なデザインです。

 


1-6: 微雑院 micro yuan’er(設計:standard architecture
7-9: 北京デザインウィーク中の大柵欄、楊梅竹斜街の様子
10-13: 微胡同 micro hutong(設計:standard architecture

写真・テキスト 青梅市タウンマネージャー 國廣純子

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