コラム

まちと公共スペースのデザイン2「活動の『みえる』公共施設、活動を『促す』公共施設」

2017.5.25

青梅市では公共施設再編の真っただ中。

中心市街地でも幾つかの施設再編検討が進められています。

 

 

定住人口減で財政が厳しくなる中、

今までの公共施設の数を減らし内容を充実させていく方針、

いわゆる縮充には誰からも異論がないと思います。

 

 

予算も少ない中で二の次にされそうなのがデザイン。

豪華な建物は必要ありませんが、文化施設デザインの肝は、

 

 

①活動が『みえる』デザインと平面計画。

②市民活動の『活発化を促す』役割をもつ『ディレクター』の設置。

 

具体的な好例を2つ。
1)金沢21世紀美術館(石川県金沢市)

 

歴史的な建物が建ち並ぶエリアにある美術館。

広々とした芝生広場の中に

円形のモダンな空間が現れる斬新さで

世界中から注目を集めています。

 

コミュニティにも開かれており、

参加型のアートプログラムの企画充実に加え、

子育て支援スペースの設置、

地域イベントでの美術館前広場の活用など、

多様な取組みが専任のディレクターによって

プロデュースされています。

 

1 美術館外観と広場
2 展示室は内外の様子がわかる
3 子育て支援スペースも充実
4 ミュージアムショップと展示室
5 美術館近くの街並み

 

 

2)太田市美術館図書館(群馬県太田市)

 

2017年3月にオープンしたばかりの小さな施設です。

市民が無料で過ごせるフリースペースが充実し、

カフェや図書スペースが

外にいても中にいても見渡せる楽しい建築。

 

今後2つの機能を活かした

一体的な企画によって、人気の施設に成長しそうです。

 

1 外観。駅から徒歩1分で入り口付近にはカフェがみえます。
2 フリースペースで過ごす中高生たち。
3 図書スペースごしに外をみる。
4 2階や3階には、デッキスペースと座れる家具が充実。

 

 

みえる化=ガラス張り、という訳ではありません。

大きなガラス張りのホールの存在感があるだけで

人の活動が間近に感じられない巨大建築は無意味。

落ち着いて取組むべき仕事場までガラス張りにする必要も無いです。

 

 

めざすべきなのは、市民の活動が

中からも外からも活気が伝わっていくような建物のつくり方。

施設の傍を歩く人にも熱気や気配がこぼれて伝わるような、

ハコそのものにも活性化効果のあるデザインでなければ

せっかく縮充させた施設も効果半減です。

 

 

写真・テキスト 青梅市タウンマネージャー 國廣純子

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