コラム

まちと公共スペースのデザイン3「1本大樹の景観の活かし方〜仏リヨンの街から」

2017.6.22

フランスの中核工業都市、リヨン。

古くは絹織物で栄えた旧い街で、

整えられた街並みに

統一感のある建物群と石畳の景観は

世界遺産に指定されています。

 

 

旧市街の狭い路地空間は、

雨でも織物が取引できるよう、

建物がびっしり建ち並び、

トンネル状の通路(トラブール)が

あちこちにあり、

まちなかは迷路の様です。

 

 

世界遺産に登録される程なので、

もちろん雰囲気は素敵ですが

緑を植えるスペースなどは殆どありません。

 

 

そんなまちなかでも光るのが、

1本の大樹のある空間使い。

目にとまりやすい角や突き当たりの空間に

うまく大樹を植え、その周りに

テラスのように使えるテーブルやイスが

散りばめられています。

建物の影と樹木の木陰で快適に過ごせる空間に。

 

 

青梅旧市街のポケットパークは

トイレ完備で清潔にされていて、

樹木を1本植えるという行為は変わらないのに、

快適で素敵な雰囲気がないのは何故でしょう?

 

 

景観の取り扱いにおいて、

色規制や緑化面積の比率だとか

ルールを守るだけでは

空間は作れないことがよく分かります。

 

 

もっと具体的な要素を分析して、

小さなところから丁寧に空間作りをする

このような努力を怠らないことが、

今を生きる市民にも受け入れられ、

未来に資産になる街を作ることにつながります。

 

 

写真・テキスト 青梅市タウンマネージャー 國廣純子

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