コラム

まちと公共スペースのデザイン5 「ニューヨークの公園活用マネジメント」

2017.8.20

天下の巨大都市ニューヨーク、

マンハッタンと言えども、

ホームレスの増加や空き店舗の荒廃で

治安が悪化していた時期がありました。

その頃の街中の公園も

荒廃の代名詞だったそうです。

 

 

 

 

地区の清掃や経済振興によって、

活気を取り戻しながら

土地建物の利用価値を引き上げる

BID(Business Improvement District )を組織し、

対象とする地区周辺の事業者からお金を集め、

治安・環境整備・空き店舗対策を兼ねた

エリア更新を進められていった歴史が

1980年代頃から始まりました。

 

1990年代半ばには

ミッドタウンの市街地ほぼ全域に

同タイプの組織によるマネジメントが

導入されていきました。

 

 

 

 

日本における『まちづくり会社』も、

こうした欧米の先行事例が見本となっています。

 

 

ニューヨークで特に今

面白くなっているのは、

公園活用のマネジメント。

 

 

スポンサー収益や、

園内の飲食店スペースの賃貸料などを元手に、

定期的な農産物直売市場の開催や、

オープンカフェスペースの整備+設置、

夜の自然観察ツアーや、

ファーマーズマーケット、

野外映画の上映など、

市街地は

“従来型の商店やオフィスが集まる場所”

から

“より活動的な楽しみを体験できる場所”

に変貌を遂げています。

 

 

 

 

ブライアントパーク、マディソンパークなどは

独自のwebサイトを持ち、

積極的な企画を発信し、

公園内には標示、ゴミ箱、パラソル、

テーブルセットに至るまで

視認性の高いデザインを導入しています。

 

 

 

 

空間と合わせて

来園者をサポートするための

情報デザインも重要です。

 

 

 

 

1. ブライアントパーク(Bryant Park)の現在。1970年代は荒廃し、治安も悪かった。
2. 公園管理事務所(Bryant Park)
3. チェスコーナーの案内板(Bryant Park)
4. チェスに興じる人々(Bryant Park)
5. ランチタイムに混み合うユニオンスクエア(Union Square)。周辺にはオーガニックスーパーも充実。
6. ファーマーズマーケットなどテーマ別に出店イベントが週4で開催される(Union Square)
7. ファーマーズマーケット(Union Square)
8. 日光浴を楽しむ人々(Madison Square Park)
9. 公園アクティビティを紹介する案内板(Madison Square Park)
10. 園内のSHAKE SHACKに長蛇の列…(Madison Square Park)
11. 中央の芝生広場はコンサートや映像のイベントもあり、管理スタッフが設営する(Bryant Park)
12. 園内のコーヒーショップはいつも盛況(Bryant Park)
13. こども向けプログラムのためのカラフルな家具(Bryant Park)
14. 読書にいそしむ人々(Bryant Park)

 

 

写真・テキスト 青梅市タウンマネージャー 國廣純子

「コラム」に関連する記事