コラム

まちと公共スペースのデザイン4「道路がパブリックスペースに変わる価値 飯田市りんご並木」

2017.7.20

長野県飯田市の

市街地エリアにある「りんご並木」。

 

 

戦後の大火で焼けた

市街地の復興対策として

地元の中学生が植樹、

その後の栽培や収穫をも担当するなど、

児童書にも紹介されたエピソードをもつ

歴史ある通りです。

 

 

高度経済成長期を経て

1990年代の初頭までは、

まちの人に開放的な場所ではなく

普通の県道に挟まれた状態に

なっていました。

 

 

飯田市の中心市街地再生が

検討された20年以上前、

方針として掲げられた3つの柱は

①商店街活性化

②りんご並木通りの再生

③市街地再開発の実施。

 

 

特に②について、

公園をイメージした整備が目指され

「まちの人たちが集まりたくなるような

通りの整備が市街地再生の肝となる」

という理念のもと、

建物その他の計画に先んじて

景観整備に着手。

 

 

ハコモノやイベントだけで

賑わいを創出できる訳ではないことに

着目した飯田市の眼力が秀逸です。

 

 

市民の意見を取入れる形で

実施計画は進行し、

車も歩行者も通行できる「歩車共存」とされ、

管理主体も県から市へ、

車が減速走行し歩行者を優先できるよう

周到にデザインを凝らし

1999年より現在の形に。

 

 

再整備には

6年の年月と

8億円が投じられましたが、

並木通りでは市民イベントが年中開催され、

利用調整の会議体も市民たちの手で

設置されました。

 

 

再開発ビルも3棟建ち、

まちづくり会社による

並木通り沿いの連鎖店舗開発も相俟って

市街地再生の中心的な役目を果たしています。

 

 

目先の経済効果を図りがちで、

従来的な景観整備も難しくなってきた

昨今だからこそ、

我々の直面する「公共空間の整備」

について考えさせられる好事例といえます。

 

 

 

1. 現在のりんご並木

2. 県道だった頃のりんご並木(元飯田市産業経済部長高橋氏より提供)

3. 並木沿いに再開発されたビルで、三石タウンマネージャーと

4. りんご並木に面したエコハウス

5. 地元の中学生がりんご栽培している様子

6. 再開発によって活気を維持し続けている商店街(朝)

7. 防火のために守られた裏界線と残された蔵

 

写真(1,3-7)・テキスト 青梅市タウンマネージャー 國廣純子

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